写真は、世界を記録するためだけの道具ではありません。
私たちは日々、膨大な情報を目にしているはずなのに、その多くを見過ごしています。
街を歩き、人と話し、仕事をし、作品を鑑賞するときでさえ、実際に「見えているもの」はごくわずかです。私たちは、「見たいものを、見たいように」見ているにすぎません。
では、改めて「見る」とはどういうことなのでしょうか。
そして、見ることを大切にしてきた人たちには、どのような人がいるのでしょうか。
りんごが落ちることは誰もが知っていましたが、アイザック・ニュートンはその当たり前の出来事を見過ごしませんでした。なぜ落ちるのかという問いが、万有引力の発見へとつながりました。多くの人が動植物を見ていた中で、チャールズ・ダーウィンは種ごとのわずかな違いを観察し続けました。その「小さな違いを見る力」が進化論を生みました。
また、宮沢賢治は石や植物、雲を見つめ続け、多くの人が見過ごす風景の中に宇宙や生命の営みを見出し、その観察は文学へと結実しました。
さらに、誰もが日用品を無意識に使っていた時代に、柳宗悦は名もない職人が作った器や道具の中に美を見出しました。美術館の作品ではなく、暮らしの中にあるものから美を再発見したのです。
このように、いくつかの例を挙げてみても、彼らが発見したのは、もともとそこにあったものを、新しい視点で見続けた結果であると言えるかもしれません。
MINA WORLD COLLEGE『Practice of Seeing|見ることのプラクティス』では、写真家・濱田祐史とともに、1年をかけて「見る」という行為によって、私たちはどのように世界を認識しているのかを学び、考察します。
写真の歴史を学び、身の周りのものからカメラを制作し、写真を自ら編集し、太陽光で像を定着させるサイアノタイプを体験します。
それらの実践を振り返りながら、最終的には空間展示という形で成果発表を行います。
ここで学ぶのは、写真技術だけではありません。
光を見ること
時間を見ること
ものの背景を見ること
対象と向き合うこと
そして最終的には、自分自身の「見る」という行為や、ものの見方そのものを発見していきます。
アーティストとは、見過ごされているものを見つける実践者でもあります。
MINA WORLD COLLEGEは、アーティストに伴走してもらいながら、自分自身をアップデートしていくための実践の場です。
世界は同じままでも、見え方が変われば、世界は変わります。
つまり、見え方が変わることで、世界を楽しむ選択肢は増えていきます。
『Practice of Seeing|見ることのプラクティス』は、「見ること」を起点に、「まだ見えていないもの」に気づき、世界を楽しむ選択肢を広げていくための実践講座です。
【対象】
写真をより深く学びたい人。ものの見方を変えるための視点を増やし、仕事や学業・普段の活動に対しての力を上げたい人。近隣のワーカー、学生。
※全10回通し受講のみの申し込みとなります。
【内容】
全10回のカリキュラムから写真を学び、最後は展示という形で成果発表を行います。
*グラフィックデザイナー星加陸によりデザイン/編集された記録集をカリキュラム終了後に受講者に配布予定です。
【スケジュール】
※開催日は変更になる場合があります。
[前期]
Vol.1/9月30日(水)19:00-21:30/座学
「写真の歴史、偶然と瞬間について」ーカメラオブスキュラから考える。
〈課題〉渋谷の路上を観察し撮影する。
Vol.2/10月21日(水)19:00-21:30/実践/guest_山西もも(写真家)
「ピンホールカメラを作る」
自身の身近なもの(菓子箱など)でピンポールカメラ手作りしその場で撮影と現像もする。
Vol.3/11月25日(水)19:00-21:30/実践/guest_若山満大(東京ステーションギャラリー学芸員)
Vol.1課題の渋谷の路上を観察し撮影したものに対して写真の講評をする。
Vol.4/1月13日(水)19:00-21:30/実践
「写真を編む」
自分が撮影していない108枚の写真からA5の本にレイアウトする。
Vol.5/2月17日(水)19:00-21:30/対談講義/guest_鈴木理策(写真家)
「写真の作品、編集について」
Vol.4で編集した成果物を元にディスカッションする。
〈課題〉レンズを通すことで「見えた」写真を撮影する
[後期]
Vol.6/4月21日(水)19:00-21:30/対談講義/guest_小林孝行(flotsambooks)
「写真集について」
Vol.7/5月26日(水)19:00-21:30/実践
「サイアノタイプ」
そこにあるものの形を観察しトレース(フォトグラム)する。
Vol.8/6月23日(水)19:00-21:30/対談式講義/guest_伊藤貴弘(東京都写真美術館学芸員)
「写真を展示することについて」
これまで制作したものを見直し、写真で展示することについて考える。
Vol.9/7月1週間/展示
「空間に写真を配置して展示する」
Vol.10/9月/イベント
「ピンホール空間を体験する」
自分が手に入れた小さな世界(ピンホールカメラ)と、大きな世界を体験する。