before the dog, behind the cat
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本展では、「アーカイブ」を起点に、時間の経過により作品はどのように経験されうるのか、また作家にとってどのような存在としてあり続けるのかを考察します。

ミュージアムは本来、記録と保存のための装置です。その記録は固定されたものではなく、誰の視点によって選ばれ、どのように編集されるのかによって異なる姿に変化します。

長島有里枝はこれまで、写真を出来事の証拠としてではなく、関係のなかで生成される「痕跡」として捉え、セルフポートレートやスナップを通して、時間の中で変化し続ける自己や他者のあり方を記録してきました。

本展は3つのシリーズの作品で構成されます。

①2025年の「GARAGE SALE」展で発表した、旧作に猫の写真と絵をコラージュしたシリーズ

②MINAの所在地が渋谷であることから、1994年にセンター街の入り口でティッシュ配りのアルバイトをしていたとき撮影したストリートスナップ

③「女性」同士の格差と連帯をテーマにした2007年の写真シリーズ『SWISS』を、合板にアナログプリントしたモノクロフィルム(2018年制作)の作品を、MINAのテーブルにリメイク

今回、1990年代〜2020年代まで各年代ごとの代表作がアーカイブのように同じ空間に展示されることになる初めての展示となります。

ここで行われるのは、過去作品の再展示ではなく、記録されたイメージに再び作家本人が介入し、別の時間を重ねるという行為です。発表された時点で完成されたものとして固定されるのではなく、繰り返し編集され、変化し続ける存在として私たちの前に現れます。写真作品が鑑賞の対象にとどまらず、触れられ、使われることで、来場者の身体的な経験として記憶に組み込まれていきます。

ミュージアムに作品が収蔵されることは、評価や保存という意味で重要である一方、展示されない時間が長くなるにつれて、作品が人々の記憶から切り離されていく側面もあります。それは、作品の変化や更新の機会が失われ、ある種の停止した状態に置かれることでもあると考えられます。

本展は、変化し、使用され続ける「生きているアーカイブ」として構想されています。

作品の変化し続ける可能性を止めないこと。

 その実践を通して、記録とは何か、そして作品はいかに時間の中で在り続けるのかを問いかけます。

 

展覧会情報

会期
2026年7月10日 (水) - 9月27日(日)
参加作家
長島有里枝
料金
MINAはカフェスペースとギャラリースペースが一体となっています。 展示をご覧頂く時はMINAのブレンドコーヒーやフードメニューをぜひお召し上がりください。
 イベントやワークショップについては詳細情報をご確認ください。
企画・キュレーション

L PACK.

プロフィール

長島 有里枝

長島有里枝は1973年東京都生まれ。93年武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科在学中に自身の家族のヌードを撮った作品が「アーバナート #2」展でパルコ賞を受賞しデビュー。卒業後、99年カリフォルニア芸術大学MFA修了。2001年には蜷川実花、HIROMIXらとともに第26回木村伊兵衛写真賞を受賞したほか、10年には『背中の記憶』(講談社)で第26回講談社エッセイ賞を受賞。家族やアイデンティティなど、他者との関係性をテーマに写真作品を制作するいっぽう、女性のライフコースに焦点を当てたインスタレーション作品を発表する。

 15年武蔵大学人文科学研究科博士前期課程修了。主な個展に「5 Comes After 6」(UTRECHT、東京、2015)、「縫うこと、着ること、語ること。」(デザイン・クリエイティブセンター神戸、2016)、「Forever is Composed of Nows」(MAHO KUBOTA GALLERY、2017)、「そしてひとつまみの皮肉と、愛を少々。」(東京都写真美術館、2017)など。グループ展に「THE FURIOUS GAZE」(El Centro Cultural Montehermoso、ビトリア、2008 )、「開館10 周年記念展 庭をめぐれば」(ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡、2012)、「拡張するファッション」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、2014)など。

展覧会