文明の結合点(ボルト)
目の前にあるのは、単なる部品ではない。それは、産業革命以来、世界中の構造を支え続けてきた技術の結晶であり、互いの力を受け止めて離さない「信頼のミニマム」だ。
規格化された精密な螺旋(らせん)は、幾度となく計測され、進化してきた人間の英知の歴史を静かに物語る。この一組のボルトとナットが、鉄と鉄、石と石を結びつけ、すべての近代的建造物に「永続性」という約束を与えてきた。彼らの冷たい光沢は、過去から未来へと都市を繋ぎ、文化と人をもつなぐ、最も簡潔にして最強の「楔(くさび)」なのだ。
コレクション情報
- ジャンル
- 工事用具
- 材質・技法
- ステンレス
- 寸法
- 不明
- 受入年度
- 2025年12月4日
- クレジット
- 写真:田上浩一